2013年7月28日日曜日

出:株黄金期


注目株マル買指南甦える饅頭こわい―まんが版実践的株マニュアル(安田二郎、すがやみつる・著、エム・アイ・エー)

昭和58年から60年まで、 コミック・モーニング誌に連載された株漫画。
坂本タクマが描き始めるはるか前から、株漫画はあったのだ。

前書きには、この時期、日経平均は8000円台から15900円へと上伸、とある。
なんだかちょうど今の株価と似ている。
ただ、当時の株価は、そこからさらに2倍以上にまで上がるわけだが。

日本株にとって非常にいい時期だからこそ成立した連載とも言える。
しかし今から考えるとびっくりするほど手数料が高くて、儲けるのは容易ではなかっただろう。
あのときと今、どちらがいい時代かは、一概には言えない。

この漫画で推奨した銘柄がよく上がるというので、「饅頭銘柄」として兜町でも話題になっていたらしい。
制作者側にとってそれは痛快だっただろうが、プレッシャーもあったに違いない。
読者が買うことによって株価が上昇することを狙ったためなのか、低位小型株を推奨しがちであったようだが、
なかなかにこわいやり方だ。
当局に目をつけられなかったのか。あるいは黒い筋から脅されたりしなかったのか。

まさに饅頭こわい、である。
(すがや先生のギャグは全編こんな感じ)

読了指数
今回:+1
合計:-66

2013年7月24日水曜日

出:少年とカネ



M.I.Q. 1』(マスヤマコム・原作、浅井信悟・漫画、冨田かおり・構成協力、講談社・少年マガジンコミックス)

M.I.Q. 2
M.I.Q. 2』(マスヤマコム・原作、浅井信悟・漫画、冨田かおり・構成協力、講談社・少年マガジンコミックス)

M.I.Q. 3
M.I.Q. 3』(マスヤマコム・原作、浅井信悟・漫画、冨田かおり・構成協力、講談社・少年マガジンコミックス)

なかなか面白かった。

ただ、少年誌の限界か、株を扱っていながらトレードシーンがほとんどない。
高校生が実弾で株売買をするなどとんでもない、という世論に配慮したものだろう。

できることなら「株甲子園」的なものをやって全国の高校生トレーダーと戦う話を作ってほしかった。
「北の売り師」や「東海のバフェット」みたいなキャラクターを登場させ、わいわいやってほしかった。

そういう物足りなさはあるけれども、学校でお金のことを教えないから、漫画でその代わりをしてやろう、
という試みは素晴らしい。
リスクとの付き合い方もロクに教えないでぽんと社会に放り出す教育の無責任さに、
メジャー誌でもの申した意義は極めて大きい。

微力ながら、坂本タクマも今後この役割を引き継いでいく所存である。


なお、この作品には、「2008年にとんでもないことが起きる」と、
リーマンショックを予言するかのようなところがある。
理由はどうあれ、それは当たった。
せめてそこまで連載が続けばかなり面白いことになったんだろうが、
そんな相場のときにこの手の漫画がメジャー誌で続けられるとは思えないことも確かだ。

読了指数
今回:+3
合計:-67

2013年7月23日火曜日

入:お仕事用


M.I.Q. 1M.I.Q. 2』『M.I.Q. 3(マスヤマコム・原作、浅井信悟・漫画、冨田かおり・構成協力、講談社コミックス)
注目株マル買指南甦える饅頭こわい―まんが版実践的株マニュアル(安田二郎、すがやみつる・著、エム・アイ・エー)

仕事の資料。やったるで。

 読了指数
今回:-4
合計:-70

2013年6月21日金曜日

入:人体マニア


アーティストのための美術解剖学: デッサン・漫画・アニメーション・彫刻など、人体表現、生体観察をするすべての人に(ヴァレリー・L・ウィンスロゥ著、宮永美知代・訳・監修)

原著を買おうかと思っていた本。
洋書で解剖学の本を読むのは、用語が難しくて大変だから、翻訳されないかな、と思っていたが、気がついたら翻訳されていたので買った。
ギリシア語だのラテン語だのより漢字のほうがはるかにわかりやすい。日本人でよかった。

副題が長い。
そういえば絵を描いている人、絵を描くのが仕事の人というのはたくさんいる。
そのすべてに解剖学の知識が必要なわけではないが、ややこしく、ハードルの高い領域なので、人と差をつけやすいところではある。

読了指数
今回:-1
合計:-66

2013年5月10日金曜日

入:オレのための本


RとRubyによるデータ解析入門(Sau Sheong Chang ・著、瀬戸山雅人、河内崇、高野雅典、橋本吉治・訳、オライリー)

この本をオレが買わないということがあるだろうか。
だって、Rubyで、Rですよ?

逆に、この本を読まない人がいるのだろうか。
いるわけがない。
Rubyで、Rなんだから。

読了指数
今回:-1
合計:-65

2013年2月24日日曜日

入:身につまされる


大阪いてまえスロッター万枚くん大ミリオネア攻略(サマンサさん吉、ガイドワークス)

セカンドATMいってしもうてる回。

人ごとではない。
なんなら万枚くん以上のことをやってのけているオレだ。
涙なくしては読めないだろう。

読了指数
今回: -1
合計: -64

2013年2月21日木曜日

出:序破9


9手詰将棋: 詰みの鍛錬に最適な202問 (将棋パワーアップシリーズ)
9手詰将棋』(高橋道雄、創元社)

高橋道雄の詰将棋シリーズ。
5、7、ときて9だ。

5手、7手は比較的楽であったが、9手詰めともなるとさすがに手こずる。
しかしすべて実戦形、よくある囲いからの出題で、
難しくなりすぎないように配慮されているので、
嫌になってぶん投げるということはない。
5と7を繰り返し解いてから取りかかれば楽勝だろう。

各問に「5分で初段」などの難易度の目安が書いてある。
その難易度がヒントになる。
5分で3級ならこんなに難しい筋は使わないはず、みたいに。

難易度順ではなく、囲い別の配列になっている。
難易度順には難易度順の良さがあるが、
どうしても後ろのほうの難しい問題群のところで投げ出してしまいがちだ。
難しい問題がバラして配置してあると、「ここさえ突破すればしばらく楽」という感じで、
やる気が継続する。

そんな編集上の配慮よりも何よりも、
やはり高橋道雄の詰将棋がオレは好きなのだ。
肌が合う、というか。

作者によっては、どうにも解きづらい、とっつきづらいということもある。
そういうのは、有名かどうかとか、問題の難易度とかには関係ない。
文章や絵と同じく、 感覚の問題だ。

とはいえ、好きな問題ばかり解いていても
前に進むことはできない。
途中でぶん投げた詰将棋集が恐ろしく積み上がっている。
ひどいのになると最初の数問でギブアップしている。
高橋道雄で少しは詰将棋力が上がったと思うので、
それらも徐々にこなしていきたい。

読了指数
今回: +1
合計: -63


2013年2月19日火曜日

出:生死をわける


ペンシルパズル本154 へやわけ5
ペンシルパズル本154 へやわけ5』(ニコリ)

酒やバクチなど、溺れると身を滅ぼす元になるものはいろいろあるが、
パズルも確実にそのひとつだ。

いやあ、解いた、ハマった、死ぬかと思った。

この、へやわけというパズル、とてもよくできている。
部分に着目してジワジワ塗り進めていくうちに、全体のつながりが見えてくる。
部分的に行き詰まったように感じても、全体を俯瞰してみると手がかりが落ちていたりする。
部分と全体のバランスが絶妙だ。

しばらく考えてもまったく進まず、失敗したか、と思ったところで
1マス埋まることがわかり、そこから連鎖的にバババーッと埋まっていく。
物語がある。
「溜め」と「カタルシス」がある。

もうこの問題解いたらやめよう、やることあるし、と思っても、
なかなかやめられない。
次の問題をチラ見でもしようもんなら、
手をつけずにはいられなくなる。
どんなに難しい問題でも、一目で埋まるところが何ヶ所もある。
そこだけ埋めたらやめよう、と手を出してしまうところにワナがある。
進めるうちにつながりが見えてきて、
やがて新しい手筋を発見したりして、
あれよあれよという間に没入し、
気がついたら夜明けですよ。

柿ピーとかコイン大のせんべいのような
「ちっちゃいお菓子」のヤバさに似ている。
ちっちゃいから大丈夫、と手を出すと、
何度も何度手が伸びて、
食った量がわかんなくなって、
気がついたら袋が空だった、みたいな。

問題の選び方や並べ方もまた絶妙だ。
易しい問題で手筋に慣れさせておいて、
それを応用してちょっとずつ難しい問題が解けるようになり、
その過程でまた新しい手筋を発見し、とやっていくうちに
どんどん「へやわけ力」が上がっていき、
もはや芸術としか言いようのない最終問題へと導かれるのだ。
試行錯誤が必要な意地悪問題はなく、
ちゃんと「解かせる」意図を持った良問ばかりだ。

どんな人達がこれらの問題を作っているのだろう。
実生活では滅亡寸前のパズルジャンキーなんだろうか。
なんとなく、そうだったらかっこいいな、という願望を抱く。、


ちょっと語りすぎた。
この面白さは実際にやってみないとわからない。

あえてお勧めはしない。
どうなってもかまわないというのなら、溺れてみられよ。

読了指数
今回: +1
合計: -64

2013年2月17日日曜日

出:ラーニング・イン・ザ・ゾーン


[オーディオブックCD] ゾーン~相場心理学入門
[オーディオブックCD] ゾーン~相場心理学入門』(マーク・ダグラス、世良敬明・訳、パンローリング)

聞き流すだけでトレード力の上がる、夢の教材だ。

スポーツでよく言われる「ゾーンに入った」状態。
これをトレーディングにおいて作り出そうというのが本書の目的だ。

ゾーンとはどういう状態か。
それまでのトレード結果などに影響されることなく、
仕掛けるべきときがきたら躊躇なく仕掛け、
手仕舞うべきときには躊躇なく手仕舞う、
そういう心理状態だ。
まるっきり自動的に、機械的に売買できる構えだ。

トレードの経験者ならわかると思うが、
そういう状態になるのは極めて難しい。
どうしても、楽しいとか悔しいとか怖いとかいった感情が
トレードに影響してしまうのが普通だろう。

では、どうしたらゾーンに入れるのか。
とりあえず本書を「聞く」のが手っ取り早い。
通勤途中や家事をしながらでもよい。
坂本の場合は、作画作業をしながら聞いた。
何かしながら「読める」のがオーディオブックの強みだ。

耳で聞くだけではよくわからない箇所もあるだろう。
それはそれでいい。
まずは通して聞いて大まかな概念をつかむ。
それから繰り返し聞き、心にしみこませる。
一種のお経のようなものと考えればよい。

内容的にも、複雑な精神世界に立ち入り、
心理学から哲学、さらには宗教的な色彩さえ帯びてくる。
それが、筆者の実体験も含めた具体例を通して語られるので、
単なるお題目や抽象論に終わることがない。

毎日聞いているうちに、ある日突然フレーズが口をついて出てくる。
気がついたら、相場でとるべき行動を、自然と、ためらいなくとれるようになっている。
──かどうかは、まだそこまで聞き込んでいないのでわからないが。

聞いていて何度も、オレのよく知るとあるヤラレトレーダーの顔が浮かんだ。
本書で触れられている典型的なヤラレパターンが、
ことごとく彼に当てはまる。
彼にこそ本書を薦めたい。

読了指数
今回: +1
合計: -65





2013年2月14日木曜日

出:マルチーズ


マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
マルタの鷹〔改訳決定版〕』(ダシール・ハメット、小鷹信光・訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)

今さらではあるが、この名作だ。

マルタの鷹というタイトルくらいは知っていたが、読んだことはなかった。
映画も見た記憶がない。

しかし、読んでいてしきりに、見たことあるような気になった。
要するに、今まで読んできた、見てきたあれやこれが、
みんなこの作品から出発しているのだろう。
もっと早くに読んでおくべきだった。

とはいえ、この「改訳決定版」は去年出たものだ。
訳がだいぶ変わっているらしい。
訳者が熱心に勉強した、という話があとがきにある。
その話はテレビでも紹介された。

様々な研究がなされているようであり、
逸話込みで楽しむ作品だ。

読了指数
今回: +1
合計: -66