2013年2月19日火曜日

出:生死をわける


ペンシルパズル本154 へやわけ5
ペンシルパズル本154 へやわけ5』(ニコリ)

酒やバクチなど、溺れると身を滅ぼす元になるものはいろいろあるが、
パズルも確実にそのひとつだ。

いやあ、解いた、ハマった、死ぬかと思った。

この、へやわけというパズル、とてもよくできている。
部分に着目してジワジワ塗り進めていくうちに、全体のつながりが見えてくる。
部分的に行き詰まったように感じても、全体を俯瞰してみると手がかりが落ちていたりする。
部分と全体のバランスが絶妙だ。

しばらく考えてもまったく進まず、失敗したか、と思ったところで
1マス埋まることがわかり、そこから連鎖的にバババーッと埋まっていく。
物語がある。
「溜め」と「カタルシス」がある。

もうこの問題解いたらやめよう、やることあるし、と思っても、
なかなかやめられない。
次の問題をチラ見でもしようもんなら、
手をつけずにはいられなくなる。
どんなに難しい問題でも、一目で埋まるところが何ヶ所もある。
そこだけ埋めたらやめよう、と手を出してしまうところにワナがある。
進めるうちにつながりが見えてきて、
やがて新しい手筋を発見したりして、
あれよあれよという間に没入し、
気がついたら夜明けですよ。

柿ピーとかコイン大のせんべいのような
「ちっちゃいお菓子」のヤバさに似ている。
ちっちゃいから大丈夫、と手を出すと、
何度も何度手が伸びて、
食った量がわかんなくなって、
気がついたら袋が空だった、みたいな。

問題の選び方や並べ方もまた絶妙だ。
易しい問題で手筋に慣れさせておいて、
それを応用してちょっとずつ難しい問題が解けるようになり、
その過程でまた新しい手筋を発見し、とやっていくうちに
どんどん「へやわけ力」が上がっていき、
もはや芸術としか言いようのない最終問題へと導かれるのだ。
試行錯誤が必要な意地悪問題はなく、
ちゃんと「解かせる」意図を持った良問ばかりだ。

どんな人達がこれらの問題を作っているのだろう。
実生活では滅亡寸前のパズルジャンキーなんだろうか。
なんとなく、そうだったらかっこいいな、という願望を抱く。、


ちょっと語りすぎた。
この面白さは実際にやってみないとわからない。

あえてお勧めはしない。
どうなってもかまわないというのなら、溺れてみられよ。

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