2020年1月5日日曜日

入・出:新しい常識




セイバーメトリクス入門 脱常識で野球を科学する』(蛭川皓平・著、岡田有輔・監修、水曜社)

こういう本が大好きだ。
データによって、人々が見落としている事実を発見する。主観に基づくのではなく、あくまで客観的に。

昔からそう言われているから、というだけで正しいと鵜呑みにするのではなく、正しいとも正しくないともわからない、と、いっぺんニュートラルな位置に立って、データを調べ直してみる。
そうすれば、常識にとらわれていたときにはわからなかった新たな世界が開けるかも知れない。

送りバントはして欲しくない。これは、オレが野球を見ながらここ数年ずっと思ってきたことだ。
バントなどせずブンブン振って、得点のバラツキを上げ、それによって格上のチームに勝つ。そういうことが可能なんじゃないかと思っていたのだが、本書にはそれ以上のことが書いてあった。
プロ野球において、ほとんどのケースで送りバントは得点の期待値を下げる。得点をする確率も下げる。ピッチャーなど打力の著しく劣る選手が打席に立つときを除き、単純な送りバントは愚策と言っていい。
「ほら見ろ」と言いたい。

2017年の楽天イーグルスは、開幕からしばらくの間「1番・茂木、2番・ペゲーロ、3番・ウィーラー、4番・アマダー」という打線を組んでいた。2番打者に送りバントをさせる、という従来の常識を完全に捨て去っていた。素晴らしかった。勝ちまくった。
ところが、シーズン途中に茂木とペゲーロをケガで欠くと、バントを多用するようになった。チームは転落し、優勝を逃した。バントのせいとばかりは言えないが・・・少なくとも、3割前後打つ銀次にバントをさせるのはどんなケースでも大悪手だ。

そのほかにも、「盗塁は得点を増やすのにあまり有効ではない」とか、「打たせて取るピッチングは存在しない」とか、セイバーメトリクスが明らかにしてきた様々な事柄が議論されている。野球の見方が変わる。
シストレに応用できそうな考え方もいろいろあったし、刺激的。

読了指数
今回:±0
合計:-117