2014年1月28日火曜日

入:誰逃れ


逃れ将棋(森信雄、実業之日本社)

新種の将棋問題集。
「逆詰将棋」と銘打たれている。
王手がかかった場面から、逃げたり合駒したりして詰みを逃れるのが目的。

受け方を間違えて詰まされた、という悔しい体験をした直後に読めば
むちゃくちゃハマること間違いなし。
そうでなければ、若干キツい。
詰まされるというか、積まされる可能性が高い。

読了指数
今回:-1
合計:-70

2014年1月25日土曜日

出:劇的


話し言葉の日本語 (新潮文庫)
話し言葉の日本語』(井上ひさし、平田オリザ、新潮文庫)

この本を読む前に『初日への手紙 』(井上ひさし、白水社)を図書館で借りて読んだ。
芝居の台本が上がるまでに作家とプロデューサーの間でやりとりされたファックスなどが主な内容だ。
それはもう凄まじい作業であり、書く、というのはこんなにも大変なのか、ということを思い知らされる。
井上ひさしのやり方が極端すぎる、ということなのかも知れないが。
とにかく劇作家を目指す人はもちろん、物語で身を立てようとするすべての人は必読だ。
それと同時に、〆切に追われたことのある人、つまりほとんどすべての社会人にとって怖い読み物でもある。
「えっ?稽古が始まってんのに、たったのこれしか!?」
「ヤバいよ、初日が、初日が来ちゃうよ!!」
と、読みながら何度も叫んだものだ。
そんなバカ丁寧なお詫びのファックスを書く暇があったら、 作業を進めたほうが・・・などと
ハラハラしつつ、こうやって説明すればわかってくれる、許してくれるのか、と、目から鱗が落ちる。
今後の参考にしたい。

その次に『井上ひさし全芝居〈その7〉 』(新潮社)を、これもまた図書館で借りて読み、
上で書いていた作品が無事できあがったことを確認する。
プロットから台詞を書く際に、こうやって面白くするのか、と勉強する。

という流れがあった上で、この『話し言葉の日本語』を書店で見かけたものだから、1秒も考えずに買う。
こういう流れがなく、タイトルだけを見て手に取ったならば、読んでみてかなりの違和感があったかも知れない。
最初のほうこそ話し言葉の日本語のことを話しているのだが、だんだんと演劇の話になっていく。
最終的には、戯曲の書き方の優れたテキストができあがる。
劇作家2人が演劇雑誌で対談したのだから当然ではある。

話し言葉とはいうものの、それを台詞として「書く」ことを生業とする人達の対話であるから、
坂本タクマにとって役立つ本であることは間違いない。
ただ、「そんな細かいことをいちいち考えているから、ホンの上がりが・・・」と、余計なことも思ってしまうのだった。

読了指数
今回:+1
合計:-69


2014年1月5日日曜日

入:たがを緩める


話し言葉の日本語(井上ひさし、平田オリザ、新潮文庫)
ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで(ジョージ・G・スピーロ著、青木薫・訳、新潮文庫)
オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ(吉田武、東海大学出版会)
図解でわかる多変量解析(涌井良幸、涌井貞美、日本実業出版社)

部屋を片付けろとの要請もあり、極力本を買わないようにしていたのだが、
正月でややたがが緩む。

とはいっても昔に比べればかわいいものだ。

今よりずっと書店が多かったころ、初売りもそれなりに派手だった。
現金つかみ取りがあったり、図書券や金券がほぼ確実に当たるくじがあったりした。
仙台中の本屋を荒らし回り、持ちきれないほどの本を抱えて帰ったものだ。
この積ん読の原因のほとんどは、書店の初売りにあると言っても過言ではない。

それらの書店は、今やほとんどなくなった。
昔はなかった超大型書店が、特別射幸心を煽るわけでもなく、ほぼ通常営業でやっているのみだ。
唯一行列ができていたのが、20%引きセールのブックオフだ。
新刊書店には決してマネのできない芸当だ。
古書店の利益率のデカさを知れば、新刊書店などバカバカしくてやってられないというものだろう。


それはそれとして、
今年こそは読了指数のグラフを上向きに持っていきたい。
ヒマさえあれば本を読みたい。

その一方で、昔に比べてテレビの録画が格段に簡単になったという事実もある。
ハードディスクは常にぱんぱんだ。
正月番組を見終わるのに3月頃までかかりそうだ。

せめぎ合うオレの時間。

読了指数
今回:-4
合計:-70

2013年12月12日木曜日

出:浪速のモーツアルト


とっておきの詰将棋 (1)(内藤國雄、創元社)

関西の重鎮、内藤國雄の詰将棋集。

内藤國雄といえば華麗なる棋歴とともに詰将棋創作でも有名であるが、
こうしてまとめて解いてみると やはりその味わい深さに感嘆する。

以前テレビで、内藤が詰将棋を作るところを見たことがある。
会場の客が適当に握った駒を使って、その場で作るという
「握り詰め」というやつだ。
その才にはたまげたものだ。

この本の中に、内藤13歳の作、というのが載っている。
ちょっと見たことのない面白い筋で、13歳にしてこんな発想ができるというのは
簡単に言えば天才だ。

早熟なところ、多作なところなど、内藤國雄こそ
「浪速のモーツアルト」と呼ぶにふさわしい。

読了指数
今回:+1
合計:-66

2013年12月8日日曜日

入:グラフは見た目が9割


Rグラフィックスクックブック ―ggplot2によるグラフ作成のレシピ集(Winston Chang・著、石井弓美子、河内崇、瀬戸山雅人、古畠敦・訳、オライリー・ジャパン)

Rで美しいグラフがかけると評判のライブラリー、ggplot2の使い方を集めた本。

R言語自体が、他のプログラミング言語に比べて奇妙な感じがするものなのだが、
ggplot2にはそれとはまたひと味違ったなじみのなさがある。
そこら辺を克服して、美しい、右肩上がりの資産曲線を描きたい。

読了指数
今回:-1
合計:-67

2013年11月11日月曜日

出:大山の作意


詰将棋 作意を探せ―配置駒で推理する(週刊将棋・編、毎日コミュニケーションズ)

詰将棋を作る人のことを「詰将棋作家」という。
詰将棋というのは創作活動によって生み出された作品だ。
あるアイディアがあって、それを実現するためにいろいろな工夫をする。
解く人にびっくりしてもらおうとか、爽快な気分になってもらおうとか、
何らかの意図がある。
ある側面では、漫画家や小説家、作曲家などのやっていることと似ている。

小説などとは違って、詰将棋では、作家の意図は最初からすべて盤面に示されている。
ぽつんと離れて置かれた歩が詰み筋に重要な役割を果たすことがある。
一見メインのストーリーとは関係なさそうでも、すべての駒には必ず意味がある。

そういった、図面に示された配置駒から作家の意図をくみ取り、
問題を解くことに役立てよう、というのが本書の趣旨だ。

他に類を見ない、画期的な本だ。
詰将棋に苦手意識がある人でも、この本でコツをつかむことができるだろう。
詰将棋を「味わう」ことができるようになるためにも有用だ。

ただ、追随する本がないということは、あまり需要はないようだ。
確かに配置駒を読んだところで実戦にはあまり役立ちそうにない感じはする。
将棋好きの人が詰将棋を解くのは、大体が強くなりたいからだ。

しかし、実戦で勝つということにいつのころからあまり興味が無くなったオレにとっては、
詰将棋こそ、将棋で一番面白い分野になった。
十数年前に買った当初はあまり意味がわからない本だったが、
ようやく最近になって読み通すことができるまでになった。
年輪を重ねて、芸術が理解できるようになってきたようなものか。

詰将棋作家の人達は実に驚嘆すべき仕事をなしており、
もっと世間的な尊敬を集めてもよさそうに思うのだが、
現実にはまったく不遇だ。
詰将棋漫画みたいなものをやってブームを起こしたいとkろだが、
企画は通りづらいかも知れない。

ところで、本書を半分くらいまで解いたところで、
作品自体も実に素晴らしく、立派なもんだと思って
誰が作ったのかとあちこちひっくり返してみたら、
前書きにたったひとこと、故・大山十五世名人作であることが記されていた。
すでに亡くなっていた大先生の作意を図面からくみ取るという、
深奥な書物であることが判明した。
タイトルを「大山の作意」にするなど、名人ブランドを強調する作りにすれば
もっと売れたんじゃないかと思うんだが。

読了指数
今回: +1
合計: -66

2013年10月29日火曜日

入:大人の図鑑


会社四季報 業界地図 2014年版(東洋経済新報社)

子供が恐竜図鑑に夢中になるように、大人はこういうものに夢中になる。
何か実用のため、というわけではない。

読了指数
今回:-1
合計:-67

2013年9月28日土曜日

出:じっちゃんの名にかけて


ビット・トレーダー (幻冬舎文庫)
ビット・トレーダー』(樹林伸、幻冬舎文庫)

『金田一少年の事件簿』の原作者が書いた、トレーダー小説。

素晴らしく読ませる。
株のデイトレードという、この世で最もエキサイティングな世界を描きつつ、
犯罪小説としてズンズン話が進んでいき、
ページをめくる手が止まらない。
漫画界のヒットメーカーの筆はさすがにすごい。

何より引き込まれるのはトレードシーンだ。
刻々と変化する板の状況の描き方がリアルで、
自分がトレードしているような感覚になれる。
この作者、間違いなく、やっとるね、これ。

文句なくお薦めできる小説だ。
しかし、いちトレーダーとしては、ちょっとひとこと言わせてもらいたいこともある。

株が題材の物語というと、どういうわけだかかなりの頻度で
犯罪がからんでくる。
この作品もだ。

そりゃあ、大金が飛び交う市場には、
クリーンな人ばかりじゃなく、中にはダーティーな人もいるだろう。
しかし、あまりにダーティーなところばっかり
描きすぎなんじゃないかと思うのだ。
クリーンにやっても相場は十分すぎるほど面白いし、儲けることもできる。

とは言っても、ネットでつながったコンピューターの中だけで完結する相場で
エンターテインメント小説を書くのはなかなか大変だ。
物語を現実社会にまで広げる手段としては、
犯罪が手っ取り早いしわかりやすい。
そういうことなのだろうか。
何しろ金田一少年の原作者だしな。

読了指数
今回: +1
合計: -66

2013年9月21日土曜日

入:希少種

ビット・トレーダー(樹林伸、幻冬舎文庫)

株絡みの小説。
幸か不幸か、トレーダーが主人公の物語は少ない。
刑事が主人公のものに比べれば、無に等しい。
よって、完全制覇を目指す。

読了指数
今回: -1
合計: -67

2013年9月7日土曜日

出:11年越し


行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論
行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論』(ヨアヒム・ゴールドベルグ、リュディガー・フォン・ニーチュ・著、眞壁昭夫・監訳、行動ファイナンス研究会・訳、ダイヤモンド社)

この本の発行日が 2002年1月。
この本を買ったのが同年9月。
株取引をはじめたのが同年11月。
つまり、株をはじめる前に買った本だ。
株をはじめるにあって勉強するために買った。

読み始めるまでに11年もの歳月が
経過してしまった。

その事実の前に茫然とし、
内容を語るどころではない。

1点だけ言えば、本書は「価値関数」と呼ぶモデルでもって
投資家の心理を表現している本だ。
何度も何度もS字型のグラフが出てきて、
それを使って多くの投資家が「損は切って利は伸ばせ」ができない理由などを
説明している。

心理学の実験による裏付けがある理論であり、
納得できる。
損切遅れをやってしまう原因を、はじめて科学的に
理解できた気がする。

ただし、原因がわかったからといって、
必ずしも失敗を防げるわけではない。
論理的な理解だけではダメで、
心の奥園にしみこませるように理解しないと
現場で体が動くまでには至らないだろう。

そういうわけであるから、
実際に取引をはじめる前にこの本を読んだところで、
理解できないし、さして有効ではなかっただろう。
相場経験を積んだ今だからこそわかることが色々ある。


こういうことああるから、積ん読はやめられない。
これぞ積ん読erの醍醐味だ。

読了指数
今回:+1
合計: -66