2011年7月18日月曜日

出:勝負あり


原発のウソ (扶桑社新書)
原発のウソ』(小出裕章、扶桑社新書)

原発はウソだらけだ。
そのウソの数々を静かに暴いていく。
大変にわかりやすい文章で、すぐに読める。

この期に及んでも原発を守ろうとする人達に、
このわかりやすさ、説得力があるだろうか。
目の届く範囲で、そんな人は一人もいない。

この本は、原発推進派が脱原発陣営に突きつける問題に
だいたい全部答えている。

逆に脱原発派が問う疑問のすべてに
答えられる 推進派はいない。
例えば、溜まり続ける核のゴミ、死の灰をどうするのか。
福島第一原発をどうやって収束させるのか、という問題だって、
ちゃんと答えが出ていない。

すでにベストセラーの本書だが、
これ以上原発にだまされたくないすべての人に
一読をお勧めしたい。

しかしこういう本をみんなが読んでいる国に
なってしまったことにやるせなさが募る。

読了指数
今回:+1
合計:-48

2011年7月17日日曜日

出:きっちりした仕事


極厚蒼天航路 11 (モーニングKCDX)
極厚蒼天航路 11』(王 欣太、李 學仁、モーニングKCDX)


極厚蒼天航路 12 (モーニングKCDX)
極厚蒼天航路 12 (モーニングKCDX)』(王 欣太、李 學仁、モーニングKCDX)

やっと読み終わった。

この作品には、漫画においてキャラクターの登場場面が
いかに重要かということに気付かされた。
ここでは、ビジュアルのインパクトが重視されている。
時代を超えて読み継がれてきた三国志の持つ力に
負けないためのひとつの方法として
成功している。

このような戦う漫画の場合、
キャラクターの去り際も重要だ。
関羽がどうなるのか、ずっと気になっていたが、
最後の最後にとびっきりの意表が用意されていた。

キャラクターの登場と退場、
そして読者の意表を突くという
漫画の大事な仕事を、きっちりこなした作品だ。


ところで、この2冊を買ったときは、
「これにて-10。当分本は買わんぞ。」
と書いていた。
ふふ。ふふふふ。

読了指数
今回:+2
合計:-49

2011年7月13日水曜日

入:偉い人たち

原発のウソ(小出裕章、扶桑社新書)

河北新報は偉い。
震災の翌朝も、ちゃんと新聞が来た。
震災当日でさえ、あの揺れの直後にもかかわらず夕刊が配られた。
もちろん地震のことは載っていなかったが。

そんな偉い河北新報が、
坂本タクマとゆかりのある出版社から縮刷版を出したとなれば
これは買いの一手だ。


小出裕章も偉い。
原子力学界の中にいて、40年間も原発の危険性を訴えてきた。
「不屈の精神」とか言われる人のほとんどは、
この人の不屈に負ける。

読了指数
今回:-2
合計:-51

2011年7月6日水曜日

入:ゴージャス


大阪いてまえスロッター万枚くん77(サマンサ三吉、.白夜コミックス)

パチスロ実戦漫画といえばこれ、ご存じ万枚くんがたっぷり読めるお得な一冊。
巻頭カラーのISM48が豪華だ。
こんなにキャラクター出てきてたんだな、漫画ってこうやって描くんだな、と
ひたすら勉強になる。

読了指数
今回:-1
合計:-49

2011年6月26日日曜日

出:それとわかれ


基礎数学力トレーニング―Nの数学プロジェクト
基礎数学力トレーニング―Nの数学プロジェクト』(根上生也、中本敦浩、日本評論社)

スポーツでいうところの基礎体力にあたるものが数学にもある。
その「基礎数学力」を鍛えよう、というのが本書の趣旨だ。
それは計算力みたいなものではなく、「見てそれとわかる」力だ。
公式を暗記して適用する受験数学ではなく、「だいたいわかり」の数学だ。

なんだか、悪名高いゆとり教育っぽい。
だが、それこそが真の数学力を養う道だというのだから、
ゆとり教育は理想の教育でもあったのだろう。
円周率、ときには3で十分だ。


基礎体力については、走ることによって走力や持久力が、
筋トレによって筋力がつくというふうにわかりやすい。
だが、数学基礎力は・・・
この本を読み終われば多少基礎数学力がついたような気がするが、
それが何なのかはまだよくわからない。
基礎であるからには継続が大事なはずだが、本書のあと、どこに向かえば
継続的に基礎数学力を鍛えられるのか。
離散数学の中に、そういう問題が多い、とは示唆されているが・・・

何はともあれ、子供を数学嫌いにしないためのヒントが詰まった本であり、
末永く参考にしていくことになるだろう。

読了指数
今回:+1
合計:-48

2011年6月14日火曜日

出:思いは届かず


原発事故はなぜくりかえすのか (岩波新書)
原発事故はなぜくりかえすのか』(高木仁三郎、岩波新書)

流行りの「なぜ本」の走りか。
そんな軽い位置づけで済ませていい本ではない。

原子力に携わる技術者達の無思想ぶりを批判する。
国が作ったシステムで安全を確保するという発想ではなく、
現場の人間一人一人が安全意識を持つ、真の安全文化が必要と言う。

著者は、原子力最後の日を見届けることなく、この本を最後のメッセージとして亡くなった。
それを残念がっていたようだが、さて、生きてこの福島の原発事故を見たなら
どう思っただろう。


やはり人間に原子力を使いこなすのは無理だ。
特に、立地的にも精神的にも日本人には無理だ。

この期に及んでもマスコミで原発推進の発言を繰り返す輩がいる。
主に年寄りだ。
判断力が弱っているのか、考えに柔軟性がなくなっているのか、
何なのかはわからない。
原発が爆発しようがしまいがどうせもうすぐ死ぬ彼らが
そういうことを言うのはちょっと無責任じゃないのか。
というようなことを、電気なしには誰にも伝えられないオレが言うのもまた
無責任なのではあるが。

読了指数
今回:+1
合計:-49

2011年6月4日土曜日

出:警告は発せられた


大地動乱の時代―地震学者は警告する (岩波新書)
大地動乱の時代―地震学者は警告する』(石橋克彦、岩波新書)

地震や震災に関する研究ほど、総合的な学問はない。
最近の観測データはあるにしても、地面の下を見ることはできないから、どこまで行っても推測が入る。
何百年も昔に関してはデータもないから、震災の文献から被害状況を調べて震度やマグニチュードを推定するしかない。
あらゆる科学的知見に加えて文科系の仕事も重要であって、それらの膨大な知識を詰め込んだ上で将来の地震の予知をするのだが、なにぶんにもまだまだ全然わからないことだらけだ。

要するに非常に難しい学問であって、イタリアのほうで地震を予知できなかったといって地震学者が訴えられたらしいが、そいつは酷というものだ。

なんといっても本書で重要なのは、東京一極集中に対する警告だ。
坂本タクマも長年それを警戒している。
東京のたくさんの人材と一緒に坂本タクマも失われてしまっては国家の損失は計り知れないと思い、地方に暮らしている。
それが地震県・宮城であるのは何とも不合理で、3・11で先に被災してしまったのは皮肉ではあるが。

警告は発せられている。
首都圏が大震災に襲われるのは避けようのないことであって、それはいつ起こってもおかしくない。
一刻も早く人口集中を解消しなければならないとこの本は言っているし、政治の世界でも議論されてきた。
しかし地方に分散するどころか、ますます首都圏に集中している。
日本人は日本の抱えるリスクをあまり理解していないように思える。

阪神や東北で先に大地震が起こったのはまだ幸いだったのかも知れない。
ここで得られた様々な教訓を、絶対に来る首都圏大地震のために生かすことができなければ、日本の滅びは近い。

手始めに大手出版社あたりが首都圏脱出の英断を下してもいいのではないか。

読了指数
今回:+1
合計:-50

2011年5月23日月曜日

出:粒ぞろい


7手詰将棋
7手詰将棋』(高橋道雄、創元社)

5手詰将棋の続編。5手もよかったが、7手もよい。
さすがに5手詰めほどにはすらすら解けず、時間がかかった。
ただ、5手の延長としての7手であり、急激に難しくなった感じはしない。

このシリーズのいいところは粒がそろっているところ。
変に難しい問題がなく、頑張れば解けるくらいのところに統一されている。
その結果、途中で放り出されるという本として悲しいことが少ない。
書き手としても見習いたいところ。

読了指数
今回:+1
合計:-51

2011年5月22日日曜日

出:敗因


FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)
FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン (朝日新書)』(広瀬隆、朝日新書)

 大体は『原子炉時限爆弾の中身を踏襲している。
福島第一の事故を受け、「ほれ見たことか」という内容が付け加えられている。

その中で、M9.0という発表は原発事故を「しょうがないもの」と見せるための
でっち上げだ、という憶測が書かれているが、
これはいただけない。
広瀬さん、やっちゃった。
これでわかった、こういうことを書くから信用されないのだと。

東電や政府がデータを隠すから信用できないというが、
反原発の側も似たようなことをやってるんじゃないのかという
疑いすら出かねない。

これまでの反対派も、これから反対派になる人も、
福島の事故を防ぎきれなかったことの「敗因」を分析していくことになるだろう。


ともあれ今願うのは、
自分や家族が福島第一原発から出た放射性物質を
ひとかけらも体内に取り込まないことだが、
すでに取り込んでしまっているのかも知れない。
原発周辺の方々のリスクはどれほどのものか。

読了指数
今回:+1
合計:-52

2011年5月19日木曜日

入:飢餓感


FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』(広瀬隆、朝日新書)
原発事故はなぜくりかえすのか(高木仁三郎、岩波新書)
大地動乱の時代―地震学者は警告する(石橋克彦、岩波新書)

 地震と原発について知りたい。
新聞は読んでいるが、なかなかお腹いっぱいにならない。
図書館に物色に行ったが、めぼしいものはみな貸し出し中だった。

というわけで3冊ほど買った。
このくらいで食い飽きるとは思えないが、
あまりのめり込みすぎるとおかしくなってきそうなのでほどほどにしておく。

読了指数
今回:-3
合計:-53