2013年12月12日木曜日

出:浪速のモーツアルト


とっておきの詰将棋 (1)(内藤國雄、創元社)

関西の重鎮、内藤國雄の詰将棋集。

内藤國雄といえば華麗なる棋歴とともに詰将棋創作でも有名であるが、
こうしてまとめて解いてみると やはりその味わい深さに感嘆する。

以前テレビで、内藤が詰将棋を作るところを見たことがある。
会場の客が適当に握った駒を使って、その場で作るという
「握り詰め」というやつだ。
その才にはたまげたものだ。

この本の中に、内藤13歳の作、というのが載っている。
ちょっと見たことのない面白い筋で、13歳にしてこんな発想ができるというのは
簡単に言えば天才だ。

早熟なところ、多作なところなど、内藤國雄こそ
「浪速のモーツアルト」と呼ぶにふさわしい。

読了指数
今回:+1
合計:-66

2013年12月8日日曜日

入:グラフは見た目が9割


Rグラフィックスクックブック ―ggplot2によるグラフ作成のレシピ集(Winston Chang・著、石井弓美子、河内崇、瀬戸山雅人、古畠敦・訳、オライリー・ジャパン)

Rで美しいグラフがかけると評判のライブラリー、ggplot2の使い方を集めた本。

R言語自体が、他のプログラミング言語に比べて奇妙な感じがするものなのだが、
ggplot2にはそれとはまたひと味違ったなじみのなさがある。
そこら辺を克服して、美しい、右肩上がりの資産曲線を描きたい。

読了指数
今回:-1
合計:-67

2013年11月11日月曜日

出:大山の作意


詰将棋 作意を探せ―配置駒で推理する(週刊将棋・編、毎日コミュニケーションズ)

詰将棋を作る人のことを「詰将棋作家」という。
詰将棋というのは創作活動によって生み出された作品だ。
あるアイディアがあって、それを実現するためにいろいろな工夫をする。
解く人にびっくりしてもらおうとか、爽快な気分になってもらおうとか、
何らかの意図がある。
ある側面では、漫画家や小説家、作曲家などのやっていることと似ている。

小説などとは違って、詰将棋では、作家の意図は最初からすべて盤面に示されている。
ぽつんと離れて置かれた歩が詰み筋に重要な役割を果たすことがある。
一見メインのストーリーとは関係なさそうでも、すべての駒には必ず意味がある。

そういった、図面に示された配置駒から作家の意図をくみ取り、
問題を解くことに役立てよう、というのが本書の趣旨だ。

他に類を見ない、画期的な本だ。
詰将棋に苦手意識がある人でも、この本でコツをつかむことができるだろう。
詰将棋を「味わう」ことができるようになるためにも有用だ。

ただ、追随する本がないということは、あまり需要はないようだ。
確かに配置駒を読んだところで実戦にはあまり役立ちそうにない感じはする。
将棋好きの人が詰将棋を解くのは、大体が強くなりたいからだ。

しかし、実戦で勝つということにいつのころからあまり興味が無くなったオレにとっては、
詰将棋こそ、将棋で一番面白い分野になった。
十数年前に買った当初はあまり意味がわからない本だったが、
ようやく最近になって読み通すことができるまでになった。
年輪を重ねて、芸術が理解できるようになってきたようなものか。

詰将棋作家の人達は実に驚嘆すべき仕事をなしており、
もっと世間的な尊敬を集めてもよさそうに思うのだが、
現実にはまったく不遇だ。
詰将棋漫画みたいなものをやってブームを起こしたいとkろだが、
企画は通りづらいかも知れない。

ところで、本書を半分くらいまで解いたところで、
作品自体も実に素晴らしく、立派なもんだと思って
誰が作ったのかとあちこちひっくり返してみたら、
前書きにたったひとこと、故・大山十五世名人作であることが記されていた。
すでに亡くなっていた大先生の作意を図面からくみ取るという、
深奥な書物であることが判明した。
タイトルを「大山の作意」にするなど、名人ブランドを強調する作りにすれば
もっと売れたんじゃないかと思うんだが。

読了指数
今回: +1
合計: -66

2013年10月29日火曜日

入:大人の図鑑


会社四季報 業界地図 2014年版(東洋経済新報社)

子供が恐竜図鑑に夢中になるように、大人はこういうものに夢中になる。
何か実用のため、というわけではない。

読了指数
今回:-1
合計:-67

2013年9月28日土曜日

出:じっちゃんの名にかけて


ビット・トレーダー (幻冬舎文庫)
ビット・トレーダー』(樹林伸、幻冬舎文庫)

『金田一少年の事件簿』の原作者が書いた、トレーダー小説。

素晴らしく読ませる。
株のデイトレードという、この世で最もエキサイティングな世界を描きつつ、
犯罪小説としてズンズン話が進んでいき、
ページをめくる手が止まらない。
漫画界のヒットメーカーの筆はさすがにすごい。

何より引き込まれるのはトレードシーンだ。
刻々と変化する板の状況の描き方がリアルで、
自分がトレードしているような感覚になれる。
この作者、間違いなく、やっとるね、これ。

文句なくお薦めできる小説だ。
しかし、いちトレーダーとしては、ちょっとひとこと言わせてもらいたいこともある。

株が題材の物語というと、どういうわけだかかなりの頻度で
犯罪がからんでくる。
この作品もだ。

そりゃあ、大金が飛び交う市場には、
クリーンな人ばかりじゃなく、中にはダーティーな人もいるだろう。
しかし、あまりにダーティーなところばっかり
描きすぎなんじゃないかと思うのだ。
クリーンにやっても相場は十分すぎるほど面白いし、儲けることもできる。

とは言っても、ネットでつながったコンピューターの中だけで完結する相場で
エンターテインメント小説を書くのはなかなか大変だ。
物語を現実社会にまで広げる手段としては、
犯罪が手っ取り早いしわかりやすい。
そういうことなのだろうか。
何しろ金田一少年の原作者だしな。

読了指数
今回: +1
合計: -66

2013年9月21日土曜日

入:希少種

ビット・トレーダー(樹林伸、幻冬舎文庫)

株絡みの小説。
幸か不幸か、トレーダーが主人公の物語は少ない。
刑事が主人公のものに比べれば、無に等しい。
よって、完全制覇を目指す。

読了指数
今回: -1
合計: -67

2013年9月7日土曜日

出:11年越し


行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論
行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論』(ヨアヒム・ゴールドベルグ、リュディガー・フォン・ニーチュ・著、眞壁昭夫・監訳、行動ファイナンス研究会・訳、ダイヤモンド社)

この本の発行日が 2002年1月。
この本を買ったのが同年9月。
株取引をはじめたのが同年11月。
つまり、株をはじめる前に買った本だ。
株をはじめるにあって勉強するために買った。

読み始めるまでに11年もの歳月が
経過してしまった。

その事実の前に茫然とし、
内容を語るどころではない。

1点だけ言えば、本書は「価値関数」と呼ぶモデルでもって
投資家の心理を表現している本だ。
何度も何度もS字型のグラフが出てきて、
それを使って多くの投資家が「損は切って利は伸ばせ」ができない理由などを
説明している。

心理学の実験による裏付けがある理論であり、
納得できる。
損切遅れをやってしまう原因を、はじめて科学的に
理解できた気がする。

ただし、原因がわかったからといって、
必ずしも失敗を防げるわけではない。
論理的な理解だけではダメで、
心の奥園にしみこませるように理解しないと
現場で体が動くまでには至らないだろう。

そういうわけであるから、
実際に取引をはじめる前にこの本を読んだところで、
理解できないし、さして有効ではなかっただろう。
相場経験を積んだ今だからこそわかることが色々ある。


こういうことああるから、積ん読はやめられない。
これぞ積ん読erの醍醐味だ。

読了指数
今回:+1
合計: -66

2013年8月31日土曜日

出:情報開示


シナリオの基礎技術
シナリオの基礎技術』(新井一、ダヴィッド社)

勇気の書だ。

シナリオライターになるためには、特別の才能が必要と思われがちだが、
そんなことはない。
もし才能が必要なら、こんなにも大量の映画やテレビ番組が作られるはずはない。
努力で技術を身につけた人が、ライターになっているのだ。

このような話からはじまり、
原稿用紙の使い方からシナリオを面白くする方法まで、
その「身につけるべき技術」を詳細に論じていく。
これさえ学べば自分にもいいシナリオが書けるのでは、と
勇気がわく。

ただし、読んで理解することと実際にできるようになることは
また別だ。
相場やポーカーの本を1回読んだだけで
すぐに勝てるようになるわけではないのとまったく一緒だ。
読んでヤラレてまた本に戻る、という過程を経て、
こっちがよくなったらこっちがダメになった、など、
行きつ戻りつしながら、
さんざん苦労して上達していくものだ。

才能というものがあるとすれば、
その厳しい学習過程であきらめずに続けることだ。


何かかっこいいことを言ってしまったが、
すべてのことがそうなのだ。

2段組でびっしり書かれた本書の情報量はかなりのものだ。
読者としてはここまで情報を開示してくれるのはありがたいことだが、
裏を返せば、身につけるのが大変だからこそ
ここまで開示できるということでもある。

世の中うまくできている。

読了指数
今回:+1
合計:-67

2013年8月28日水曜日

入:燃えてくる


マンガ脳の鍛えかた 週刊少年ジャンプ40周年記念出版(門倉紫麻、集英社)

立ち読みしてたらなんだか燃えてきて、思わず買う。

読了指数
今回:-1
合計:-68

2013年8月16日金曜日

入:たしなみ


演習線形代数(寺田文行・増田真朗、サイエンス社)

大人として、線形代数くらいできないと表歩けませんよ。

読了指数
今回:-1
合計:-67