2014年9月11日木曜日

出:そこに問題があるから


まるごとパズル へやわけ
まるごとパズル へやわけ』(ニコリ)

<<音声は変えてあります>>
「やめられなくなっちゃうんだよねー。
この問題解きおわったら、やめとこうと思っても、
解いた瞬間、ページをめくって次の問題やってるんですよ」
──それはなぜなんですか?
「わかんないよ。
オレなんかにわかったら医者とかいらないでしょ?
・・・でも、まあ、問題がいいのかな。
酒と同じだよ。いい酒は、いくらでも飲めるんだよ。
あれと同じ」
──お酒もお好きなんですか。
「いや、オレは酒飲まない。カミさんに聞いた話」
──体のほうは大丈夫ですか?
「体に悪いってか?そんなことわかってんだよ、オレだって。
手が痛てーんだよ。仕事でもこんなんなったことないよ。
腰とか肩とか、あっちこっちヤバいしな」
──そんなにしてまで、なぜ。
「達成感?征服感? なんかそんな感じ?
山と同じだよ。もの凄い苦しい、死ぬ思いをして登ってさ、
もうやめる、もう山なんか来ないと思ってても、
登頂した瞬間、全部吹っ飛んで次の山に登りたくなっちゃうのさ」
──登山をなさるんですか?
「するかよ。 誰が登るんだ、山なんて」
──罪悪感は。
「・・・ないと言ったら嘘になる。
『こんなことやってる場合じゃない』感が
ハンパじゃない。
こんな時間があったら、仕事もできた、子供と遊ぶこともできた、
とか考えると、つらくなるときもある。
でも、それも含めて快感、ていうか。
道ならぬ恋みたいなもんでさ。
背徳感があるからこそ、関係にのめり込んでいくわけでね」
──そういうご経験が?
「 何だお前、さっきから。経験がなきゃダメなのか。
大体、酒飲んだり山登ったり不倫したりするヤツが、閉じこもってパズルなんか
すると思うか?」
──いえ、まったく。
「てめえ、おちょくってんのか!!」
──あっ、暴力は。
「んだとぉこらぁ!!ってやるっつ-んだよ!!
あれ?問題がねーじゃねーか。
パズル持ってこい!!ってコイッつーんだこらぁあ!!」

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