2011年2月11日金曜日

出:賭博者様へ


賭けマージャンはいくらから捕まるのか?―賭博罪から見えてくる法の考え方と問題点
賭けマージャンはいくらから捕まるのか?―賭博罪から見えてくる法の考え方と問題点』(津田岳宏、遊タイム出版)

愉快痛快だ。
刑法で規定される賭博罪は悪法である、と断じている。
弁護士の立場から、様々な資料を引用し、論理的に証明していく。
賭博罪は憲法違反だ、と。

麻雀ファンが法律家になったためにこの本が書かれたのか、
それとも賭博罪撤廃のために麻雀ファンが法律家になったのか、
そこら辺の詳しいところはわからない。
ただ、著者はすべての麻雀ファンがおおっぴらに麻雀が打てるように、
という情熱にあふれていることは確かだ。

賭博罪の大きな問題点は、曖昧さだ。
公営ギャンブルは良し、パチンコも大丈夫、しかし高レート麻雀店はアウト。
低レートは大体おとがめなしだが、100%とは言い切れない。
詭弁を使わずして説明できない現象だ。

東京都の「漫画規制」条例が、やり過ぎだ、恣意的な取り締まりを可能にする、などと
多くの人に批判されているが、
賭博に関する現状はそれ以上におかしなことになっている。

漫画家団体は漫画規制に反対して立ち上がったが、
賭博者が賭博罪の矛盾点をおおっぴらに指摘する例は極めて少ない。
日本ではまだまだ、賭博について議論するのが
タブー視される空気が濃い。

本書でも引用されている『賭博 I, II, III』(増川宏一、法政大学出版局)は、
坂本タクマの住む地域の図書館では「社会病理」のコーナーに置かれている。
文化としての賭博の歴史、という内容であるにもかかわらず、だ。
このあたりからどうにかしていかなければなるまい。

今すぐ賭博罪を撤廃することはほぼ不可能であろうが、
徐々に規制をゆるめる方向には向かって欲しい。
少なくとも、雀荘の取り締まり基準くらいは
ただちにはっきりすべきだろう。

一点だけ、投資は金持ちのギャンブルである、というような記述があるが、
株やFXは今や学生や主婦などもやる庶民のギャンブルであるということは
申上げておく。


すべての賭博者に本書をお薦めする。
賭博を忌み嫌う人々にも読んで欲しい。
なお、本書にはギャグが満載されている。
読む際には、若干の心の余裕、体力の充実を要する。

読了指数
今回:+1
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