2009年10月1日木曜日

出:ちっちゃな鬼退治に

 
上達するヒント』(羽生善治、浅川書房)

将棋の本を、見ると買っているときがあった。その大半が手つかずであり、非常に積み深い。
将棋ほど人を熱くさせるものは滅多にないが、将棋ほど深く人を傷つけるものもまたない。
たとえ周りの棋敵に勝つというような目標であっても、自分が強くあろうとするとそこにはちっちゃな鬼が住んでいるのであり、何かを捨てなくてはならなくなる。

相場に勝負魂をすっかり奪われたこともあり、将棋なんか強くなっても仕方ないと、将棋本買いもぱったりやめていたのだが、この本だけはタイトルが妙にキャッチーであり思わず手が伸びた。
主に海外のアマチュアの棋譜を題材に、それに羽生が講評を加えるという形で形勢判断やさばき、厚みといった概念が解説されていく。詰め将棋のように手を読まなければならないわけでもなく、定跡書のように覚えなければならないわけでもない。すいすいと読めて、それでいてかなり効きそうだ。実戦派なら感動する内容だろう。残念ながらオレは実戦派ではないが。

読了指数
今回:+1
合計:-4