『僕を殺した女』(北川歩実、新潮社)
この本はずっと、机の真ん前の本棚の、座る場所からちょうど真正面の位置、目の高さよりちょっと上の段にあった。
この本を買ってからこの方、背表紙のタイトルと作者名を目にしない日はなかった。
刺激的なタイトルを見ては、どんな内容だろう、はやく読みたいな、と思い続けてきたのだった。
そしてとうとう読むことができた。
衝撃を受けた。
1995年が舞台?
そんなに古いのか、この本は?それとも過去の話を書いているだけなのか?
そう思って奥付を見ると、1995年に発行された本だった。
この小説の主人公が味わったのと同じくらいの、いや、それ以上のタイムスリップ感である。
毎日見ていた本が、そんなに古かったんだから。
確かに、携帯電話なんかまったく出てこないし、「看護婦」とか言ってるし。
え、95年てそんなに古い?携帯が普及してなかったのは何となく覚えているが、「看護師」という言い方はまだ浸透してなかった?
95年ってそんなに昔か?
いや、もう29年前か。29年⁉
ようやくインターネットが普及し始めたころで、ネット通販はほぼなかった時だから、この本も当然本屋で買ったということになる。どの本屋かは全く覚えていないが。
あの頃はよく、本屋をはしごしてミステリー小説などを買い漁っていたのだ。
読めるスピードの何倍もの冊数を。
それらの本屋も、今ではほとんど残っていない。
何だろう、この喪失感は。
で、この本の内容だが、概ね上記のような雰囲気のことを主人公がグジグジと考え続ける話だ。
詳しいことは、何を書いてもネタバレになるので一切書けないのだが。
今さらネタバレしたところで、誰が困る?
読了指数
今回:+1
合計:ー109