2012年8月31日金曜日

出:ぬることと生きること


とっておきぬりかべ
とっておきぬりかべ』(ニコリ)

ぬるのだ。
ぬってぬってぬりまくるのだ。

このパズルの面白いところは、「部分と全体」に気を配ることだ。
様々な手筋を駆使して盤面のあっちこっちからぬっていくのだが、
最終的に全体がつながっていなければならない。
その制約が新たな手筋を産む。
ある部分を埋めるとき、そこだけ見ていてはダメで、
遠くのほうで起こった出来事がカギになっていたりする。
脳と手だけでなく、目も激しく動かさなくてはならない。
かなりいいトレーニングになる。

本書、最初は手頃な問題からはじまって
だんだんと難しくなり、
最後の数問は本当にキツかった。
しかしそこを乗り越えて全問制覇したときには
世の中を見下ろす高みに登った気分になれる。

いちいち真っ黒にぬりつぶしていたのでは
時間がかかってしょうがないので、
途中からはぬりつぶす代わりに×印で埋めるようにしたら
だいぶスピードアップした。
最後に×を直線で繋いで全体のつながりを
確かめる作業がまた快感だ。


勉強しないでパズルばっかり解いていた高校生が、
勉強しだしたらいきなり成績が上がって
東大に受かった、というような話もある。
極言すれば、人間はなんにもしないでパズルばかり解いていればいい。

読了指数
今回:+1
合計:-63

2012年8月21日火曜日

出:健全な肉体


触ってわかる美術解剖学
触ってわかる美術解剖学』(アンソニー・アベソス著、カール・スティーブンス画、榊原直樹・訳、マール社)

体をしっかり表現したいアーティスト向けの美術解剖学の本。

情報量は抑えめで、入門に適している。

最大の特長は、自分自身の体を教材とし、触りながら学んでいくこと。
なるほど、視覚だけの学習よりも理解や記憶が進む。
いままでどうしてもつまずきがちだった解剖学にも、すーっと入っていけた。

ただ、ひとつ問題が。
適切に学習を進めるためには、肉体にある程度の健康美を備えていなければならない。
例えばオレは、自分の腹筋がどうなっているのか、見ても触ってもわからない。
「ここにこういう筋肉の盛り上がりがある」とか言われても、
ぼんやりした体型のためよくわからないことがしばしばだ。
中年の学習者の多くが、同じような体験をするだろう。
健康美を備えた肉体の持ち主が常にそばにいて触り放題、というような
官能的な環境にでもいない限り。

子供を風呂に入れるときに、
体をじろじろ見たり、骨の出っ張りに触ってみたり、ということは
もちろんやったけれども。

読了指数
今回:+1
合計-64